こんにちは、育伸開発です。
前回の記事「【中3理科】わかりやすく教える仕事の授業(4)―動滑車編」で動滑車を使うパターンの模擬授業を行いました。今回はその続きでてこを使うパターンです。そして今回の模擬需要で完結となります。
仕事と仕事率の模擬授業について最初からご覧になりたい方は「【中3理科・指導案】仕事と仕事率のわかりやすい教え方(1)」からお読みください。
てこと仕事について理解する上でのポイント
- てこが入ると人間は頑張って2倍・3倍・4倍・・・の距離を押す
- その代わり非力な人間が力を加えるとき、物体の質量の1/2・1/3・1/4・・・の力で済む
- 2つの間には反比例の関係が成り立っている
1/2 は分数で「2分の1」のことです。表示の都合上そのようになりますのでご了承下さい。では早速模擬授業を始めてまいります。
てこを利用するパターンの紹介
先生:気を付け、礼。お願いします!今日はてこについて学習していくよ。てこという道具を使った場合にどれくらいの距離をどれくらいの大きさの力で押せば良いか判断できるようにしよう。前回の授業で扱った動滑車の問題は難しかったね。てこを使うパータンも感覚が無いと難しいんだけど、感覚つかめば割と普通に解けるようになるよ。
先生:で、今日の学習内容のポイントなんだけど、てこが入ると人間は頑張って2倍・3倍・4倍・・・の距離を押す、その代わり非力な人間が押す所は1/2・1/3・1/4・・・の力で済む、となるよ。反比例の関係が成り立つんだ。ということ、早速問題を出していくから、具体的にどういうことが言えるのか見ていこう。
質量2kgの物体を下の図のようなてこを使い、物体を1.1m持ち上げた。この時のてこを押した力の大きさと押した長さはそれぞれ何N、何mですか。
先生:今からこの問題を一緒に解いていこう。で、最初に身につけておくべき基本感覚を確認するよ。その感覚は動滑車を使った時のものとほぼ同じなんだ。ちなみ動滑車などの道具を使うと人間は・・・何倍の距離を引っ張るの?
生徒:2倍
先生:いいね。その代わりに非力な人間は・・・どれくらいの力で引っ張るの?
生徒:半分
先生:いいね。ちなみに半分って「×1/2(2分の1)」のことだったね。「÷2」でも構わないよ。これを書くと・・・
先生:こうなるね。これが基本なんだけど、てこを使う場合は2倍の1/2倍で元通り…にはならない場合が多いよ。なぜかというと、問題設定で支点からの距離の比が1:2になってないことがほとんどだからだ。ちなみに今回の距離の比は何対何になってる?
生徒:1対4
先生:その通りだ。ということは、さっき確認した「2倍の距離の変わりに1/2の力」というのが変わって「4倍の距離の代わりに1/4(4分の1)の力」となるんだ。反比例の関係が成り立つからね。
先生:ここまでいいかな。
生徒:大丈夫です。
先生:そうすると、今物体が1.1m動いたから、人間が押した距離は何m?
生徒:4.4m
先生:いいね。
先生:物体が動いた距離の4倍を人間が押すから1.1m×4=4.4mだね。よく出来ました。では次に物体の質量なんだけど、これは何N?
生徒:20N
先生:ナイス。1kg=10Nということをしっかり覚えていたね。だから2kg=20Nだ。ということは、物体を持ち上げるのにかかる力も20Nということになるわけだけど、そうすると非力な人間はそれに対して何Nの力を加えればいい?
生徒:5N
先生:いいねぇ!
先生:非力な人間は1/4倍(÷4)の力を加えるわけだから、20N×1/4=5Nだね。よく正解出来ました!このような感覚を使ってやれば解けるよ。
比の左側が1になってないパターンを練習
先生:あとね、支点から作用点や力点までの距離の比が1:4とか1:2のように左側に1が来ないパターンがあるんだ。これを解く時にどうすべきかも教えておくよ。例えば・・・
先生:こういう場合だ。左側が支点から作用点まで、右側が支点から力点までの比を表しているとしよう。このとき、「人間は何倍の距離を押す代わりに 1/何(何分の1)の力を加える」のか判断できるかな?判断するためにどうすればいいかと言うと、これはまず両方を10倍して5:15にするよ。整数にするんだ。さらに両方を5で割ろう。そうすると何対何になる?
生徒:1対3
先生:いいね。ということで「距離何倍の代わりに力は何分の1」になる?
生徒:距離3倍の代わりに力は1/3
先生:ナイス!距離3倍の代わりに力は1/3となるね。ちなみに「×1/3」って割るいくつ(÷いくつ)と同じ?
生徒:÷3
先生:その通り!では次のパターンだけど・・・
先生:こういう場合だ。これを1対なんとか、にしよう。その後「距離何倍で代わりに力が何分の1になる」かを判断しよう。まず「1対なんとか」にするには両方の数字をどうすればいいかな。
生徒:÷5
先生:いいね。そうすると計算して1:2.4になるね。実はこれ、1:12/5(5分の12)と分数にしておいてもいいよ。右側の比が12という数字だから、12÷5=12/5だね。割り算の答えを少数で出そうとすると割り切れない場合もあるからね。そうするとね、例のポイントはどうなるかな?まず距離は何倍?
生徒:2.4倍
先生:いいね。12/5倍としてもいいよ。そうしたら非力な人間が押す力は?
生徒:うーん・・・わかりません
先生:これはね、÷2.4だ。÷12/5としてもいいし、÷分数=×逆数だから、12/5の逆数を掛けて、×5/12としてもいいよ。ここは慣れておく必要があるね。そうすると、押す距離何倍で代わりに力がどうなるかな?
生徒:押す距離2.4倍で代わりに力が÷2.4
先生:いいね、正解。分数で言うと「押す距離12/5倍で代わりに力が÷12/5」とやってもいいよ。分数の場合は感覚がつかみにくいので、同じ分数を入れて「距離が〇倍、代わりに力が÷〇」とすればいいね。実際に計算するときは÷分数を×逆数にすることになるね。
先生:では慣れるためにもう一つ例を出しておこう。
先生:このパターンね。そうすると1:?の形にするためにまずどうすればいい?
生徒:両方を3で割る
先生:いいね。そうすると何対何になるかな?右側を分数にして答えて。
生徒:1対7/3(3分の7)
先生:いいね。そうしたら例のポイントの確認だ。人間が押す部分の距離は何倍?
生徒:7/3倍
先生:正解。では非力な人間が押す力はどうやって出す?
生徒:÷7/3
先生:素晴らしい!他にも×3/7としても良かったね。ということだけど、さっき言ったとおりに「〇倍の代わりに÷〇」と同じ数字を言ってくれたね。分数のときは同じ数字にするとわかりやすくて「距離7/3倍の代わりに力は÷7/3」となるね。
やや複雑なパターンを練習
先生:そうしたら最後に問題を出すよ。ノートかメモ紙に解いてみてね。
質量1.4kgの物体を下の図のようなてこを使い、物体を150cm持ち上げた。この時のてこを押した力の大きさと押した長さはそれぞれ何N、何mですか。
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先生:では答え合わせと解説をしていこう。まずは力の大きさからだ。何Nになった?
生徒:6N
先生:素晴らしい、正解!今回は作用点と力点までの長さの比が3:7となっているね。両方を÷3すると1:7/3だ。ということで、「押す距離7/3倍で代わりに力が÷7/3」となる。物体が1.4kgだけど、これは14Nだね。だから14N÷7/3=14N×3/7=6Nと計算しよう。良く出来ました!
先生:では押した長さを確認しよう。何mになった?
生徒:3.5m
先生:いいね、正解!物体が150㎝上がってるね。そして「押す距離7/3倍で代わりに力が÷7/3」だから、150cm×7/3=350cmと出そう。ただし「何m?」と単位がメートルで聞かれているから3.5mが答えだ。単位換算にも気を付けてね。
先生:みんな良く頑張りました。ではここまでで授業おしまいです。気を付け、礼。ありがとうございました!
以下ダウンロード用のプリントですご利用下さい。
てこ sizeA4.pdf (261 ダウンロード)てこ 解答 sizeA4.pdf (216 ダウンロード)
てこ2 問題 sizeA4.pdf (227 ダウンロード)
てこ2 解答 sizeA4.pdf (204 ダウンロード)
以下はダウンロード販売となります。数値を変えたい方など編集したい方ご利用下さい。
いかがでしたか?これで中3理科・仕事と仕事率の模擬授業が完結しました。最後まで読んでいただいてありがとうございました。