【中3理科・指導案】仕事の授業(3)―仕事の原理(斜面)

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こんにちは、育伸開発です。

前回の記事「【仕事率を出せるようになる授業】中3理科・仕事の指導案(2)」で、仕事率の模擬授業を行いました。今回はその続きで、仕事の原理を使って斜面で仕事量や仕事率を出せるようにしていく授業内容です。

仕事の原理を理解する上でのポイント

  • 仕事の原理により道具を使っても使わなくても仕事量が変わらない
  • 斜面を使ったパターンに慣れる
  • 動滑車を使ったパターンに慣れる
  • てこを利用するパターンに慣れる(テスト直前にするのも可)

今回の模擬授業は斜面を使ったパターンを扱います。動滑車やてこを使ったパターンはこの後の授業で行いますので、強調しているのも今回の内容の部分だけにしました。では模擬授業を始めます。

仕事の原理とは

先生:続けて仕事の原理について勉強していくよ。この原理を理解して仕事や仕事率を出せるようにするのが目標だ。まず仕事の原理なんだけど、これは道具を使っても使わなくても仕事の量が変わらないという法則のことだよ。では本当にそうなるのか具体的に見てみよう。

先生:まず、1N(100g)の質量の物体があって、これを1mの高さまで真上に持ち上げることを考えるよ。これは1Nの質量になってるけど、これを真上に持ち上げる時に加える力は何N?

生徒:1N

先生:正解!ということは1Nの力で1m動かすわけだ。この時の仕事量は何J?

生徒:1J

先生:いいね、その通りだ。そうしたら次に・・・

先生:ここに30度の角度を持つツルツルの斜面があるとしよう。この斜面という道具を利用して同じ質量の物をさっきと同じ1mの高さまで上げるよ。ちなみに斜面の摩擦力なんかは考えない、というのはお約束だからね。

先生:この場合、仕事の原理が成り立つから、両方とも行う仕事量は変わらないんだ。この斜面なんだけど、1mの高さまで引き上げるのに、実は2m引っ張ることになるよ。その時だけど、引っ張る力の大きさは1Nより大きくなるか小さくなるか、どっち?

生徒:小さくなる

先生:正解。これ、台車が斜面を下る運動のところでやったけど・・・

先生:重力(赤線)が2つの分力に分かれて、斜面に沿った下向きの力(緑線)が弱くなるんだったね。だから斜面にそって上向きに(右上方向に)引っ張る力も弱くなるんだ。今回は実は半分の0.5Nの力が必要になるよ。そうすると・・・

*ここでは結論として半分の0.5Nになることをサクッと言っています。辺の長さが1:2になるからなのですが・・・実はなぜ長さの比が1:2で、力が半分の0.5Nになるのかはわからなくて構いません。中3数学で三平方の定理を学習しますが、それで初めてわかる内容だからです。また、斜面に沿った下向きの力(左下に向かって働く力)の大きさが重力より小さくなることは既に学習済みです。ここではとりあえず、斜面を使うと弱い力で楽に引っ張ればよいと理解しておきましょう。

先生:さっきと同じ高さになるまで引っ張り続けて仕事量は何Jになる?

生徒:1J

先生:すばらしい、正解!0.5N×2m=1Jだね。さっき真上に引き上げた時の仕事量が1Jだったのだけど・・・

先生:斜面を使った場合も1Jだ。このように斜面という道具を利用してもしなくても仕事量が変わらず1Jという結果になるんだ。この法則を仕事の原理と言うよ。別の言い方をするとね、斜面を使うと真上に引き上げた時より2倍の長さを引っ張り続ける必要があるんだけど、代わりに引っ張る力が半分で済むんだ。つまり2倍の半分で元通りってこと。ここまでわかったかな。

生徒:なんとなくですが。

先生:まだピンと来ないよね。じゃぁ次の問題を解くことで具体的に見ていって理解を深めよう。



斜面を使った問題

問題
図のように、6kg(60N)の物体を斜面に沿ってひもで引き、2分かかって6mの高さに引き上げた。物体と斜面との摩擦やひもの質量は考えないものとして、以下の問いに答えなさい。

先生:ではここから問題を出していくよ。具体的には以下の4問だ。

1問目:仕事の大きさは何Jですか。

2問目:ひもを引く距離は何mですか。

3問目:ひもを引くときに必要な力は何Jですか。

4問目:仕事率は何Wですか。

先生:今回は一つ一つ一緒に解いていこう。理科に自信がある人は先に自力で4問解いておいてもいいよ。

1問目:仕事は何Jですか

先生:では1問ずつ解説をしていくよ。まず1問目、仕事の大きさは何Jですか。これは何Jになった?

生徒:360J

先生:正解だ。いきなりよく言えたね。答えを出すのに必要な情報だけ選ぶのが難しいのだけどね。これ、斜めに引き上げるときの仕事量はいきなりは出せないね。だけど仕事の原理により、真上に引き上げようと斜面を使って引き上げようと仕事量は変わらないんだった。すなわち真上に引き上げる時の仕事量を出せばよくて、60Nの力で6m上げるから、60N×6m=360Jだ。

2問目:引く距離は何mですか

先生:では2問目、ひもを引く距離は何mですか。

生徒:10m

先生:その通り。これは図のとおり、斜面の長さ10mがそのまま答えだ。

3問目:必要な力は何Nですか

先生:そうしたら3問目、この時に必要な力は何N?問題と図を下に再掲しておくよ。

問題
図のように、6kg(60N)の物体を斜面に沿ってひもで引き、2分かかって6mの高さに引き上げた。物体と斜面との摩擦やひもの質量は考えないものとして、以下の問いに答えなさい。

生徒:わかりません。

先生:これは難しいね。36Nになるよ。ということで解説をしよう。

先生:仕事の原理により、仕事量は360Jってなっているね。これは真上に持ち上げようと斜めに引っ張って弱い力で済むようにしても変わらないということだ。ということは何Nの力で引っ張るかわからないけど10m動かして360Jだから・・・

  N×10m=360J

先生:空欄を使って書いて上のようになるね。これの空欄部分を求めればいいんだ。そうしたら360を10で割ろう。360÷10はいくつ?

生徒:36

先生:正解。ということで斜めに10mひもを引くときに必要な力が36Nと答えが出てくるよ。

4問目:仕事率は何Wですか

先生:では4問目、仕事率は何Wになりますか。

生徒:3W

先生:おお、良く出来たね。優秀だ。2分かかって引き上げたってあるけど、2分は120秒だ。120秒で360Jの仕事をしたと言えるね。

120秒で360J

1秒で  J

先生:そうすると両方120で割って、360÷120=3 だ。1秒あたりで3Jの仕事をしたことになる。だから答えは3Wだ。

先生:ここまで質問ある?

生徒:ありません。

先生:そうか、それは良かった。ではここまでの内容でプリントの問題を解いて更に慣れていこう。一人1枚ずつ取っていってね。全員にまわったかな。でははじめ!

*授業で説明したものと同じパターンのプリント問題を解けるようになりました。ここで以下のプリントを問題演習して慣れるようにしましょう。

いかがでしたか。以下ダウンロード用にプリントの問題と解説付きの解答を用意しました。是非ご利用下さい。A4サイズになっており、計算スペースも確保されている仕様です。

仕事問題ー斜面 sizeA4.pdf (189 ダウンロード)

仕事問題ー斜面 解答 sizeA4.pdf (179 ダウンロード)

以下へつづく

【中3理科がわからない人必見!】仕事の授業(4)―動滑車編

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