こんにちは、育伸開発です。
天体内容の模擬授業ですが、3回目となりました。今回は金星の満ち欠けについて勉強していきます。星座の方位・月の満ち欠けと同じように、金星についても立体的・視覚的に理解しやすいよう内容を工夫しました。
まずは模擬授業で基本内容の理解をしましょう。その後は練習問題プリントをダウンロードし問題演習をして慣れていきましょう。このページの内容を勉強すれば金星の問題に一通り対応する力がつくようになっています。
目次
金星の満ち欠けを判断する上でのポイント
金星の満ち欠けを判断するポイントは月の場合と同じです。
- 太陽光が当たっている面の反対側を影の部分として黒く塗る
- 地球から見て手前と奥を分ける線を引く
- 手前のうちどこが明るく光っていてどこが影になって暗いかを判断する
- 円の中で光っているところを囲って、見える金星の形を描く
この手順を踏んでいきましょう。あと、金星の公転軌道は地球の公転軌道の内側にあります。そのことから金星は常に太陽の近くにあることを意識しましょう。例として、明け方太陽は東にある、明け方金星が見えたら金星はどちらの方角に見えるのか?金星は太陽の近くにあるので東の空に見えるのだ、というものです。
では模擬授業を始めます。
金星の基本
先生:気を付け、礼。お願いします!今日の授業は金星の満ち欠けについて扱っていくよ。今までの星座や月の満ち欠けの授業で、方位や見え方の問題を解いてきたね。そのやり方が同じように使えるからね。
地球上の時間帯や、それぞれの時間帯ごとの方角がどのように決まるかわからない方は以下の授業内容をご覧ください。前半部分で方位と時間帯について詳しい解説授業を行っています。
月の満ち欠けについて見える形の判断の仕方がわからない方は以下の授業内容をご覧下さい。立体的な位置関係を図を使って説明しています。
先生:まず金星の特徴について基本を押さえよう。以下の太字部分を穴抜きにしても言えるようにしてね。
1.月と同じように金星自らは光を出していない。太陽の光を反射して輝く。そのためそれぞれの位置関係によって、望遠鏡で見ると満ち欠けして見える。
2.地球から太陽を見て、その右側にある金星は「明けの明星(あけのみょうじょう)」と言い明け方の時間帯に東の空に見える。また左側にある金星を「宵(よい)の明星」と言い夕方の時間帯に西の空に見える。
3.地球と金星と太陽が一直線上にあるとき、金星は見えない。
4.太陽・金星・地球の中心を結んだ線が90度になるとき、金星は半月の形に見える。
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先生:覚えたかな?以下空欄を作ってあるから、カッコの所を何も見ないで言えるか試してみて。
1.月と同じように金星自らは光を出して( )。( )の光を反射して輝く。そのためそれぞれの位置関係によって、望遠鏡で見ると満ち欠けして見える。
2.地球から太陽を見て、その右側にある金星は「( )」と言い( )の時間帯に( )の空に見える。また左側にある金星を「( )」と言い( )の時間帯に( )の空に見える。
3.地球と金星と太陽が( )にあるとき、金星は( )。
4.太陽・金星・地球の中心を結んだ線が( )になるとき、金星は( )の形に見える。
先生:では空欄に入る言葉を順番に言ってみて。
生徒:1.いない、太陽 2.明けの明星、明け方、東、よいの明星、夕方、西 3.一直線上、見えない 4.90度(直角)、半月
先生:完璧だ、素晴らしい!
金星の満ち欠けと大小
先生:この金星だけど、望遠鏡で見ると以下のように満ち欠けするよ。金星は球形をしているのだけど、立体感や奥行き感を感じないんだ(後で説明しますが満月状態の金星は実は地球から見れません)。
先生:見ての通り大きさが変わっていくね。大きく見えるということは、地球の近くに金星があるということだ。小さく見える時は遠くにあるということだよ。そして立体的に見ると以下のようになる。黄色い半球が太陽の光を反射させて輝いて見える部分だ。灰色の半球部分は光が当たってなく影になる部分だ。影の部分を見ても暗くて見えないよ。
先生:なぜこうなっているかは、金星が太陽の周りを公転しているのを以下のように地球から見ているからなんだ。立体的な位置関係を見てみて。少し見下ろしているけど、割と水平方向に見ているものだと考えよう。
先生:では次に、位置関係によって金星がどのように満ち欠けするかを細かく見ていこう。さっきのは割と水平に太陽と金星の動きを見ていた図だけど、この後下に出す図は完全に真下を見下ろしているものだよ。地球の中心にある丸い点は北極点を表しているからね。
先生:金星は太陽の周りを公転しているね。地球は金星の軌道のさらに外側で太陽の周りを公転しているんだ。だから地球は金星の公転軌道の外側(図では一番下)に位置させているからね。
Aの位置
先生:まず金星の位置がAの場合を見ていこう。結論から言うとこの位置では以下のように半月の形に見えるよ。
先生:確認するけど、これって左・右のうちどっち側が光っている?
生徒:左
先生:そうだね。正面の部分がちょうど明るく見える部分と影になって見えない部分の境目で、その左側が光っている状態だ。それは太陽光が左側から当たっているということだよ。本当にそうなっているかは以下の4つの手順を踏んで見ていくと確認できる。
2.地球から見て手前と奥を分ける線を引く
3.手前のうちどこが明るく光っていてどこが影になって暗いかを判断する
4.円の中で光っているところを囲って、見える金星の形を描く
先生:ではAの位置の金星の見え方を確認して行こう。まず手順1、太陽光が当たっている面の反対側を影になっている部分として黒く塗るんだ。そうすると以下の通りになる。
先生:次に手順2、地球から見て手前と奥を分ける線を引く(黒い太線)。そうすると以下の通りになる。
先生:次に手順3、手前のうちどこが明るく光っていてどこが影になって暗いかを判断する。そうすると以下の通りになる。
先生:左から太陽光が来ていて、左側半分の光っている部分を地球から見ていることがわかるね。この場合の暗い所との境目はちょうど正面の所だ。そうしたら最後に見方を変えよう。今までの図は真下を見下ろしていたものだったけど、地球から水平方向に金星を見てどのように見えるか考える。そして手順4、円の中で光っているところを囲って、見える金星の形を描く。そうすると以下の通りになる。以下の図は水平に地球から金星を見た図だ。
先生:こうやって形を判断しよう。ここで確認するけど、Aの位置って地球から太陽を正面に見た時、その右側にあるよね。この場合の金星の名前・見える時間帯・見える方向は何だった?
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生徒:明けの明星・明け方・東
先生:素晴らしい、よく覚えていたね。そうしたら右側にある金星がなぜ明け方東の空に見えるかを見ていこう。金星は地球の公転軌道の内側にあるので、常に太陽の近くにあるよ(太陽と逆の方向に金星があることはない)。明け方に太陽は東の空から昇ってくるよね。その近くに金星があるのだから、明け方金星が見える場合は必ず東の方角なんだ。実際には完全に真東ではなく、南寄りの東の空になっているよ。
先生:位置関係としては上の図のようになるんだ。明け方より少し前の時間帯の位置に人が立っているよ。黒い直線が地平線のラインだ。この状態だと、太陽がまだ地平線の下にあるので空は暗いね。空を見ると金星が地平線の上、東南東の方向にあるね。この後地球が自転して明け方を向かえると太陽が昇って明るくなるから金星は見えなくなるんだ。もし金星を見えるものとして位置を追うと日周運動をするので、正午くらいに南中してその後西の空に向かって動くよ。もちろん日中は明るくて見えないけどね。
先生:それとは別の深夜や夕方の時間帯については以上の図の状態になる。金星はいずれも地平線のラインより下にあるね。いくら暗い時間帯でも、地面の下に沈んでいる状態では見えないんだ。
先生:上の図を見てね。結論として、H・A・Bの位置にある金星は、地球から太陽を見て、その右側にある状態だ。この位置の金星は全て、太陽が昇る前のまだ暗いうちに東の地平線から昇ってきて見える。太陽が昇ってきて明るくなるにつれてだんだん見えなくなって消えるんだ。星座を作るような星に比べると金星はかなり明るいから最後まで生き残って見えているけどね。
Bの位置
先生:ではBの位置の見え方を聞いてみよう。ズバリ、どのように見える?
生徒:満月に近いけど右が一部欠けている形
先生:いいね、よく出来ました!
先生:位置関係としては上の図の通りだ。それを手順通りに影の部分を黒く塗り、手前の見える部分が分かるように太線を書き入れ、左・正面・右のどの部分が明るいか暗いかを判断すると以下の図のようになる。
先生:右側の一部分だけが暗くて見えないから欠けることになるね。ということで以下のように見えるんだ。地球は金星からかなり離れたところにあるから、さっきのAの位置の金星より小さく見えるよ。
Cの位置
先生:では次にCの位置だ。これってどうなると思う?
生徒:満月と同じ形に見える。
先生:残念、実は見えないんだ。以下の図を見て。
先生:確かに地球から見たとき、太陽の光を浴びている金星を正面から見ているね。もし暗い状態で金星のすぐ近くから見たら満月状態になるよ。でもCの位置は、地球から金星がある方向を向くと手前の太陽を見るしかないね。だから見えないんだ。以下の特徴を覚えておこう。
D・Eの位置
先生:では聞いてみよう。Dはどんな形になった?
生徒:満月に近いけど左が一部欠けている形
先生:ナイス、正解!Bの位置の見え方を左右逆にすればいいよ。地球から見てると太陽光が右側から当たっていることがわかる。その逆の左が一部欠けている状態に見えるね。図としては以下の通りだ。
先生:ではEについて聞くよ。どのような形になった?
生徒:右半分が光っている半月の形
先生:いいね。これはAの位置の見え方と左右逆にすればいいんだ。太陽光がちょうど右側から当たっているところを見ているからね。位置関係は以下の図の通りだ。
先生:ちなみに太陽から金星、金星から地球の中心を2つの線で結んだ時、2つの線が直角に交わるときは半月の形になると覚えておくと便利だよ。それは以下の図の通りで、A・Eの位置がそれにあたる。
先生:次に太陽より左側の位置にある金星について確認しよう。Eの位置って地球から太陽を正面に見た時、その左側にあるよね。この場合の金星の名前・見える時間帯・見える方向は何だった?
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生徒:宵(よい)の明星・夕方・西
先生:素晴らしい、よく覚えていたね。なぜ夕方西の空に見えるかなんだけど、位置関係として以下のようになる。Eの位置の金星は太陽が西の空に沈んで暗くなった時、西の空の地平線の上にあって光って見えるね。
先生:そして時間が経つと地球が自転して金星も西の地平線の下に沈んでしまうんだ。位置関係としては以下の図の通りだ。
先生:上の図で人が居る所の時間帯は大体午後8時くらいだ。この時間帯には金星も西の地平線の下に沈んでしまっているね。このように見たとおり、夕方西の空に見える金星の位置は、以下の図でD・E・Fだ。
先生:そして宵(よい)とは夕方の暗い時間帯を表す言葉だよ。金星は、太陽が沈んで暗くなってその後金星が西の空に沈むまでの短い時間だけ明るく見えるんだ。だから「宵(よい)の明星」と言うんだよ。
Fの位置
先生:では次にFの確認だ。この位置になると地球に近いので大きく見える。そして形は以下の通りだ。
先生:これを見てのとおり、太陽が右の前から光を当てているね。だから地球からは右側の一部分だけが光って見える。位置関係としては以下の通りだ。
Gの位置
先生:次にG。見ている形は以下の通り。
先生:これは新月と同じように暗くなっている面だけを見ているから見えない。位置関係は以下の図の通り。地球・金星・太陽が一直線上にあって見えない位置であることがわかるね。
Hの位置
先生:最後にHだ。これはFの左右逆にした形になって以下のように見えるね。
先生:太陽の光が左前から当たっているので左の一部分が光って見える。そして地球に近いので大きく見えるということだ。位置関係は以下の図の通り。
先生:ここまでわかったかな?
生徒:わかりました。
先生:ではまとめとして、金星が太陽の周りを一周しているのを地球から見ている様子を確認しよう。ポイントとして、太陽が金星を照らすとき、太陽側にある半球部分だけを明るくするということだ。以下の図を見ておいてね。
地球から遠いところの金星は満月に近い状態、地球に近い部分の金星はかなり欠けて見えるよ。あと正面の満月状態だけど、一直線上にある位置だから実際には観測できないよ。
練習問題
(2)金星が西の空に見えるのは、金星がAからFまでのどの位置にあるときですか。全て選びなさい。
(3)金星が東の空に見えるのは、深夜・明け方・正午・夕方のうちいつですか。
(4)金星が1日中見えないのは、金星がAからFまでのどの位置にあるときですか。全て選びなさい。
(5)金星が1番小さく見えるのは、金星がAからFまでのどの位置にあるときですか。
(6)Bの位置の金星はどう見えますか。下にある図2より記号で選びなさい。
(7)金星が1番大きく見えるのは、金星がAからFまでのどの位置にあるときですか。
(8)Dの位置の金星はどう見えますか。下にある図2より記号で選びなさい。
(9)下にある図2のうちエの形で見える金星は、金星がAからFまでのどの位置にあるときですか。
練習問題の解答
先生:答えを以下紹介するから確認してね。
解答
(1)あ
(2)B, C, D
(3)明け方
(4)A, E
(5)B
(6)イ
(7)D
(8)カ
(9)F
解説
先生:解説を入れよう。わかっているところは飛ばして必要な部分だけ確認してね。
解説(1)
先生:北極点を見下ろしている図では反時計回りに公転すると覚えておこう。だからあとなる。
解説(2)
先生:金星が西の空に見えるということは夕方に見える「よいの明星」だ。それは地球から太陽を見た時左側に位置している金星なのでB・C・Dとなる。
解説(3)
先生:金星が東の空に見えるということは「明けの明星」だ。だから明け方となる。金星は常に太陽の近くにあるので、太陽が東の空にある時間帯はいつなのか?明け方だと考えても良い。
解説(4)
先生:太陽・金星・地球が一直線上にあると見えない。その位置にあるのはAとEだ。
解説(5)
先生:金星が地球から一番遠くにあると一番小さく見える。見えない位置のAを除くと一番遠くにあるのはBだ。
解説(6)
先生:Bの位置の金星は地球から見ると右側から太陽光が来ている。そして光っている半球の大部分を地球から見ているので、満月に近い状態だ。満月に近い状態で右側が光っているものはイだ。
解説(7)
先生:一番近くにあるEは太陽・金星・地球が一直線上にあるので見えない。それを除いて一番近くにある金星を選ぶとDとなる。
解説(8)
先生:太陽光が当たっている半球部分は地球から見てほとんど見えない。かなり欠けている状態だ。地球から近い金星はかなり欠けて見えると覚えておいてもいいね。そして太陽光は右側から当たっているので、右側一部分だけ光っているものを選ぼう。カが答えだ。
解説(9)
先生:エは左側がちょうど半分光っている状態だ。太陽光がちょうど左側から照っていて、太陽・金星・地球の中心を線で結んで90度の角度を作るものを選ぼう。Fが答えだ。Cの位置の金星はオの形になるから選ばないように。
先生:では授業はここまでです。質問も受け付けているので、コメント欄を使って下さい。気を付け、礼。ありがとうございました!
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