【仕事率を出せるようになる授業】中3理科・仕事の指導案(2)

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こんにちは、育伸開発です。

前回の記事「【中3理科・指導案】仕事と仕事率のわかりやすい授業(1)」で仕事量の出し方と仕事をすることがどういうことなのかを授業で扱いました。今回はその続きで仕事率についての内容になります。

仕事率について押さえておきたいポイント

  • 仕事率は1秒あたりの仕事量(J)を表す
  • 仕事率の単位WJ/を置き換えたものである
  • 仕事率を出すように言われたら、1秒あたりで何Jの仕事をしたのかを探す
  • 公式に頼った仕事率を求めることはしない
  • 考えるときは比例関係が成り立つので「例の技」を使う

一般的なテキストに書いてある仕事率の説明ですが、一定の時間でどれだけ仕事をするのか割合を表すもの、というように書いてあることが多いです。また、仕事率(W)を求める公式として仕事(J)÷時間(秒)と紹介していることが普通です。

このような説明はわかりにくいと思います。仕事率の説明が抽象的なのでイメージしにくいからです。仕事率を出すための公式もなぜそうなるのか、導入の段階ではよくわかりません。

そこでこれから行う模擬授業では「例の技」を使い、公式は一切教えません。「速さ」の授業と同じように教えます。いわゆる「単位あたりの量や数」を求める問題は、公式を覚えないで対処できるからです。

ではいつものように模擬授業を進めていきます。勉強している方、ファイトです!

仕事率とは

先生:次に仕事率について勉強していくよ。まずはどういう意味なのかを紹介しよう。1秒あたりで何Jの仕事を行っているかを表したものが仕事率だ。この場合、単位はW(ワット)を使うんだけど・・・

5W = 5 J/秒

先生:W(ワット)はJ/秒(ジュール毎秒)と同じ意味の単位だよ。ということは、これは両方とも1秒あたりで5Jの仕事をしている、という意味だね。

W と J/秒の変換をして慣れよう

先生:じゃぁ早速聞いていくよ。 8 J/秒って何と同じこと?数字と単位両方言ってね。

生徒:8W

先生:正解。これってどういう意味?何秒で何Jなのか答えてね。

生徒:1秒で8Jの仕事

先生:そうだ、いいね。では2.5W=何?

生徒:2.5 J/秒

先生:いいね。それってどういうい意味?

生徒:1秒で2.5Jの仕事。

*まずはWをJ/秒に言い直して、それがどのような内容かを確認しました(W → J/秒 → 1秒あたりで○J)。

逆向きに W と J/秒の変換をしよう

先生:素晴らしい!そうしたら逆の変換もしていこう。1秒で10Jの仕事をした場合、仕事率は何J/秒になる?

生徒:10 J/秒

先生:そうだ。そしてそれって何W?

生徒:10W

先生:いいね。もうみんな仕事率を求めることが出来るようになったね。

*先ほどと逆に、1秒あたりで○J → J/秒 → W の方向です。



「例の技」を使って仕事率を出そう

先生:ではレベルアップ!

問題
3秒で18Jの仕事をしたら仕事率は何W?

先生:これの解き方を教えよう。まず「仕事率は?」と聞かれているから、1秒あたりで何Jの仕事をしているのか探しなさい、という意味になるよ。書くと・・・

1秒で  J

先生:こうなるね。これでわかった人が多いと思うけど、比例関係が成り立つ時の「例の技」が使えるよ。そうすると基本が問題に書いてあるはずだね。何てある?

生徒:3秒で18J

先生:そうだ。だからそれと比べると・・・

3秒で18J

1秒で  J

先生:こうなって、3秒を1秒にするために÷3すればいいことがわかるね。18Jも÷3して6Jだ。ということで1秒で6Jとわかる。これって何J/秒?

生徒:6 J/秒

先生:そうだ。だから最後に単位を J/秒からWに換えて6W。以下のように答えが出るね。

3秒で18J
↓÷3 ↓÷3
1秒で 6J  = 6J/秒 =6W

先生:更にレベルアップした問題を出すよ。

問題
4秒かけて600gの物を2mの高さまで上げた。仕事率は何W?

先生:これをやっていこう。ちょっと考えて見て。

先生:ではやり方を教えていくよ。仕事率を出すように言われたら、1秒あたりで何Jの仕事量なのかを探すということだ。この問題では、まだ何J仕事をしているのか出ていないね。だから出しておこう。何Jかな。

生徒:12J

先生:いいね。前回の授業でやった仕事量出すやり方を覚えてたね。600gは6Nだから、それに2mを掛けて12Jだ。ということで「4秒で12Jの仕事をした」と基準が出来たね。書くと・・・

4秒で12J

1秒で  J

先生:こうなるね。そうしたら両方どうするの?

生徒:÷4

先生:正解!12÷4=3ということで1秒あたりで3J(=3 J/秒)と出たわけだ。そうしたらこれって何W?

生徒:3W

先生:正解、よく出来ました!ではプリント用意したから問題演習するよ。1番から15番まで解いて。

*これで仕事率を出せるようになりました。プリントの1番から12番まで解けますから、慣れるために一度問題演習をしましょう。偶数番号を解いて残りは後日の宿題にまわすなどしてください。
*この段階ではまだ道具(てこや動滑車)を使っても仕事の量が変わらないこと(仕事の原理)について触れていません。一度にたくさんの内容を扱うと消化不良になりやすいので、まずは仕事と仕事率を計算して出せることを目指しましょう。

やや複雑なパターン

先生:更にレベルアップして、この後は単位変換することが多いパターンを扱うよ。では問題を出すから仕事率を求めてみて。

問題
20kgの物体を150cmの高さまで引き上げるのに1分かかった。このときの仕事率を求めなさい。

先生:さぁ、これどうだった?

生徒:わからなかったです。

先生:答えは5Wになるよ。単位換算が多くて難しいね。ではなぜ5Wになるのか解説をしていくね。仕事を何Jしたのか出すためには、20kg=200N、150cm=1.5m の単位変換が必要だね。200N×1.5m=300Jだ。ということは、まず1分で300Jの仕事をしたことがわかる。

先生:次に1秒あたりで何Jの仕事をしている率なのかを出すんだったね。1分=60秒だから、「1分で300Jの仕事=60秒で300Jの仕事」だとわかる。つまり、以下の関係が成り立つね。

60秒で300J

1秒で  J

先生:1秒あたりで何Jの仕事をしているのかを求めるには÷60をすればいいので、300÷60=5だ。1秒あたりで5Jと出るね。それは5 J/秒だから、すなわち答えは5Wとなるんだ。今の説明でわかった?

生徒:はい

先生:ナイス。ではもう1問同じような問題を出すよ。

問題
2分かけて24kgの物体を50cmの高さまで引き上げた。このときの仕事率を求めなさい。

先生:さぁ、この問題を解いてみよう。

先生:答えは何Wになった?

生徒:1W

先生:正解だ、ナイス!まず24㎏=240Nだね。50㎝=0.5mだ。ということで240N×0.5m=120Jと何Jの仕事をしたか出そう。次に2分かかったことから、「2分で120Jの仕事をした」と基準になる。2分=120秒だね。だから…

120秒で120J

1秒で  J
先生:このようになる。そうしたら÷120をして1秒あたりで1Jと出そう。すなわち1 J/秒であり、それは1Wだね。よく出来ました!
このタイプまで扱うとプリントの13番以降最後の問題まで解けるようになります。問題演習をして更に慣れていきましょう。ここまで慣れればみなさんがお持ちの問題集で仕事率を出すものまでできます。ただし斜面や仕事の原理に関係するものはまだ解けませんので、次の授業に進みましょう。

以下プリントになります。是非ご利用下さい。

仕事率 問題 sizeA4.pdf (142 ダウンロード)

仕事率 解答 sizeA4.pdf (107 ダウンロード)

以下へつづく

【中3理科・指導案】仕事の授業(3)―仕事の原理(斜面)

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