こんにちは、育伸開発です。
前回の記事「【算数・数学や理科で使える便利な技】比例関係が成り立つ時に使えるようにしておきたい問題整理方法(2)」で何倍かを分数で出すパターンを紹介しました。今回はそのつづきの内容で割り算タイプの紹介となります。
中3理科の物理分野の問題を使いますね。記録タイマーで記録したテープから、速度が何cm毎秒なのかを出す問題です。
問題例
記録されたテープでは0.2秒で2.8cm移動していました。この区間の平均の速さは何cm/sですか。
答え 14cm/s
今回の問題では式を2.8×5=14としてもいいです。「÷0.2」は「×5」と同じですからね。実際に授業をする時は生徒がどう答えるか、どう式を作るのかによって解説が変わってくる部分があります。
ただ一般的な公式として「距離÷時間」で速さが出ますから、そのように式を作るパターンにしてみました。実際には5倍、とする生徒は結構多いです。
さて、これについても授業風に解き方を紹介しましょう。小数が出ておりますので、物理系の内容が苦手な生徒はその段階でフリーズしていることが良くあります。要素を上手く抜き出して考えればそれほど難しくないのですが、苦手意識から頭が働かずに解けなくなることがしばしばです。
解説授業の例
生徒:わかりません。
先生:そうか、じゃぁ解説しながら一緒に解いて行こう。まず「○○cm/s」という表現なんだけど、これは秒速○○cmということだよ。つまり、何cm/sですかって聞いているんだけど、言い換えると1秒あたりに何cm移動する速さか探しなさい、ということなんだ。ここまでOKかな?
生徒:はい。
先生:ということは基準を見て、それと比べればいいね。今回の基準は何秒で何cmって書いてある?
生徒:0.2秒で2.8cm。
先生:そうそう。ということはそのまま0.2秒で2.8cmってメモすればいいね。で、その下に問われている1秒で cmっていうのを書けばいいね。
先生:そうすると、ここ(↓の部分)だよね、知りたいのは。ここ、どういう計算してる?
生徒:÷0.2
先生:いいね。同じ数÷同じ数は1になるからここが「÷0.2」だね。
そうするとこっちも÷0.2をすればいいってわかるね。ここまでいい?
生徒:はい。
先生:じゃぁ答えを出すための式に直してみて。
生徒:2.8÷0.2
先生:いいね。そうすると0.2は2/10(10分の2)で、約分して1/5だね。「÷分数」は「×逆数」になるから、×5/1(掛ける1分の5)になるね。すなわち×5と同じだね。そして計算して14。1秒あたりに14cm移動したわけだ。ということで、答えは14cm/sだ。わかったかな?
生徒:わかりました!
いかがでしたか。速さの問題が出てくると途端に解けなくなる生徒がいますが、よくよく見てみると小学生の内容とほぼ同じです。そして、このやり方の利点は比例関係を図式化すれば自動的に式が決まってくることです。速さを求める公式に当てはめてもいいですが、公式を使うことに頼っていると公式を忘れたら解けなくなります。
中3生ですと、ここはどういう計算になってる?なんて聞かなくても、「・・・となってるね。では両方どういう計算?」と聞くだけで「5倍」などと普通に返してくれることが多いです。特に小学生から教えている生徒だと問題無く授業が進みます。また、÷0.2の計算を分数に直して約分して・・・の解説は生徒の状況や能力に応じて省略することでよりコンパクトな授業になります。
このようなやり方、是非使えるようにしてあげてください。参考まで。